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高森明勅
2010.11.4 05:28

「明治節」晴れ

11月3日、東京は晴天。日の丸を掲げるにも、やはり晴れた方が気持ちがいい。

毎年、この日は晴れが多い。

「明治節」晴れ、とでも言うべきか。

と言っても、「明治節」って言葉自体、殆ど死語になりかけているかな。もともとこの日は明治天皇の誕生日。

だから明治時代には、天皇誕生日を意味する「天長節」という祝日だった。

天長節も死語かも。

漢籍の『老子』にある「天長地久」の語から、天皇の長寿を願う気持ちを込めた祝日名だ。

奈良時代の光仁天皇の誕生日を祝った記事が『続日本紀』にあり、「この日は天長」と書いてある。

近代に入って制度化されたのは明治6年。

以来、明治末まで11月3日は天長節で、当然ながら大正なると平日に戻る(ちなみに大正時代は8月31日が天長節で、別に10月31日を天長節祝日とする変則)。

ところが、明治天皇を慕う国民多数の要望で、昭和2年に「明治節」として復活した。

かなり異例と言ってよい。

それが敗戦後、占領下にGHQの意向で祝祭日の大変更がなされた際、「文化の日」という正体不明の祝日に改められた。それが昭和23年のこと。

以来、60年以上が経過した。

だから今や、この日と明治天皇、あるいは明治時代を結びつけて考える人は、殆どいなくなっているだろう。

ただ昭和天皇は、明治節が廃止され、それに伴って宮中の明治節祭が廃止されても、ご自身の思し召しで、晩年に至る迄、臨時御拝と称して、臨時といいながら必ずこの日に、拝礼を続けておられた(あとやはり、紀元節が廃止されて宮中の紀元節祭がなくなっても、2月11日に臨時御拝を続けられた)。

この日、青山の日本青年館で講演。

「明治の偉大」について7点にわたり語った。

最後に取り上げる予定の明治維新について、時間切れで殆ど触れられず、残念。

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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